生前整理メリット・主な流れ

生前整理とは
生前整理というのは、言葉の通り、存命中に身の回りを整理することを言います。この言葉から、自分の人生の終点に目を向けることや自分の死後のことなどを考えてしまうことから、ネガティブなイメージを持たれている方も多くいるかもしれません。
ですが、実際の生前整理というのは、むしろ逆のポジティブなものなのです。何故かと言うと、生前整理は、家や部屋の中の物を整理して、不必要となった物は処分し、大切だと思える物は保存や整理をする、ということをしますが、その不必要な物と大切だと思える物を選り分ける時間というのは、その物に込められた自分の記憶や思い出などの自分の人生を振り返る時間でもあります。
ですから、生前整理はそうした時間を取れる行動や考え方ですから、決してネガティブなものではないのです。そしてまた、本当に大切な物を残し、不必要だと思えた物を思い切って処分するのは家や部屋の整理であると同時に、心の整理であるとも言い換えられます。
死というのはネガティブなものではありますが、誰しもにそれは訪れ、その前に自分の思い出や思い入れ、記憶という人生を振り返る機会が、生前整理というものなのです。
生前整理のメリット
上でもご説明しましたが、生前整理の大きなメリットは心の整理をできる機会となることです。また、遺された家族や親族からすれば、当人にとって本当に大切だと思い遺した物を、尊重でき、大切にもできるという点からもメリットとして考えられます。後でその遺していった大切な物を見て、この世を去ってしまった方との思い出が溢れて来て、思いを馳せることもあるはずですからね。
もちろん、不必要だと思える物は処分していけば、遺す物を少なくすることにもなりますので、この点もメリットの一つです。生前整理を行わず、残された遺品の片付けにはかなりの時間を要することで、ある生前整理をテーマにしたセミナーの中で講師が「三ヶ月で片付けばかなり早い方で、三年かかっても終わらないと困っている方々もいる」と話していたくらいですから、かなり大変なものなのです。
遺された方々にかかるそうした負担を減らす、という側面でも生前整理をやることにはメリットがあります。
遺される方々の負担を減らすこと
遺された方々にかかってしまう負担を軽減させる、という考え方の中には、「財産」の生前整理というものも含まれます。例えば、趣味で使っていた物や家具などのような形ある物を遺すのも遺された方々は処分に困ったりしてしまうのですが、財産というような形のないものも生前整理をしておかなければ、遺産の相続などの金銭的なトラブルで揉めてしまう危険性があります。
それらを避けることも生前整理を行うメリットの一つです。自身がこの世を去った後、遺された家族や親族の間で揉めごとが起こることを望む人はいませんし、同様に遺される家族や親族からしても揉めごとが起こることなく安らかに見送ってあげたいと思うはずです。
ですから、生前整理は、遺してしまう側からすると「遺された方々に迷惑をかけたくない」という思い、そして遺される側からすると「心置きなく、安心して旅立って欲しい」という願いや思いが込められた言葉や考え方、そして行動なのです。
生前整理の主な流れ:財産の整理
上でご紹介しました通り、遺される側のトラブルの種にもなりますから、財産の生前整理はとても重要です。例えば、預貯金や不動産の書類などは、しっかりと整理するようにしてください。また、保険については、自分でかけている保険は把握していても、かけられているものに関しては忘れてしまっていることが多い点には注意が必要です。
特に書類や通帳などは、どこにしまってあるのかわからなくなってしまう方が意外と多いようですから、この点も注意ですね。そうしたものを、一つ一つしっかりと確認するようにしてください。そして、できるだけそれらを一ヶ所にまとめるか、まとめない場合なら、それをどこにしまってあるのかを書き遺すことが重要です。
せっかくまとめたのに、それがどこにあるのかわからないのでは、意味がなくなってしまいますから、ここまでをワンセットに考え整理するようにしてください。
生前整理の主な流れ:家の整理
家の中の整理は、冒頭でご紹介しましたが、本当に大切だと思える物は残し、不必要だと思えた物は処分していくようにします。またその際に、処分をする基準を決めてから整理し始めることをおすすめします。例えば、衣類であるならサイズが合わなくなっている物は処分する、というような処分する判断基準を決めるわけです。
そして整理する時は、箱を二つ用意し、片方に「処分する物」と書き込むか、そう書いた紙を貼り付け、もう一方の箱に同様に「検討中」と書き込んだりしましょう。そして、処分すると決めた物は、「処分する物」に入れて、その後は基本的には取り出したりはせず、処分するか迷う物は「検討中」に入れておく、というようにすると良いかと思います。
また、その「検討中」に入れた物に関しても、例えば「二週間使用することがなかったら処分する」というような保留期間と判断基準を決めるようにしましょう。大切だと思え、残す物に関しては、それらをまとめて箱に入れて、大切な物・残す物だと書き込むか、貼り紙をして遺された方々にわかりやすいようにすることも大切なポイントです。
おわりに
生前整理のメリットや、やり方に関する流れなどをご紹介しました。生前整理を行う上で、気を付けて頂きたいのが、生前整理というのはすぐに終わるものではなく、かなりの時間・期間を要するものでもあり、それは同時にかなりの体力や労力を要するということでもあります。
ですから、一人でやることを考えず、誰かの力を借りることも必要な考え方であるとも言えます。また、高齢者の方本人が生前整理をされる際は、高所の物を取ったりすることもありますし、部屋には様々な物があるはずですから、怪我には充分に注意をしてください。これらのような情報が参考になれば幸いです。