終活時のお墓選びを分かりやすく解説します!

終活として考えるお墓選び
「終活」という言葉を見聞きしたことのある方は多くいることと思います。テレビの情報番組や雑誌などで特集をされたりもしており、かなり広まっている言葉ですよね。
この「終活」というのは、自身の終わりに向けて考えたり、行動を移すことを全般的に言います。例えば、身の回りを整理する生前整理もそのうちの一つの考え方や行動ですし、他にも遺族の方に伝えたい情報などを遺すためにエンディングノートを書く、などといった行動や考え方も終活の中に含まれます。
そして、自分が眠るお墓について考えたりすることも、終活の中で重要な位置にあるものです。なぜなら、自身のお墓について考えておくことは、遺す(遺される)家族の方々の負担を軽くさせることができますし、自分が納得のいくお墓に入り、また余生においてお墓の準備に不安なく過ごせる、という幾つものメリットがあるからです。
このコラムでは、そうした終活の中でお墓を選ぶ時の情報として、お墓の種類について解説したいと思います。
家墓(いえはか)と個人墓
「家墓」とは家族を祀り、子や孫へと継承していく先祖代々のお墓のことです。墓石には、「○○家」や「○○家代々之墓」などのような墓碑銘が刻まれることが一般的です。
自分の子供世代の方々が、今と同じ町であったり、近くで生活する可能性が高い場合は、このお墓を選択肢とすることになるかと思います。一方で、個人で入るお墓である「個人墓」というものもあります。
これは、生涯独身であった方だったり、家墓に入りたくないと思う方、それと夫婦でそれぞれ別のお墓に入るという選択をした方が建てるお墓です。このような性質から、大半の場合は継承する人がいないので、永代供養にする必要があるでしょう。
また、この個人墓では、本人専用のお墓ということで、それぞれの方の趣味や好みを反映させることができますから、個人墓という形式を選んで、個性的なお墓を建てる方も多いです。
両家墓と夫婦墓
「両家墓」とは、二つの家のお墓を一つのお墓にまとめたお墓のことを言い、夫婦それぞれの先祖を祀ります。
この形式のお墓は、一人っ子同士であったり、長男長女同士での結婚の場合など、「両家それぞれのお墓を護らなければならない」というような負担が大きくなってしまう場合や、継承者がいない場合などに選ばれるものです。
この形式のお墓を選ぶ場合、それぞれの家の宗教上の考え方の違いや、霊園の使用規定という側面があるため、親族間でしっかりと相談をしてから決めるようにすると良いかと思います。「夫婦墓」というのは、夫婦二人で入り、その夫婦を祀るためのお墓です。
こちらの形式は、継承する方がいなかったり、また継承する方はいても、その方に受け継いでもらうことは考えていないというような場合に選ばれることの多いお墓です。
上記の「個人墓」同様に、夫婦二人のお墓ということで、お互いの愛の証やしるしとして、二人の思い出や好きな言葉といったものを刻んだお墓にする方も多いようです。
永代供養墓と納骨堂
「永代供養墓」というのは、お墓を受け継ぐ人・お墓を守る親族がいない方などを祀るためのお墓の形式で、寺院や霊園などのその墓地の管理者が一定期間供養や管理をしてくれるお墓のことです。
また「合葬墓」とも呼ばれるお墓です。「永代」という言葉が使われていますが、供養の期間は十七回忌、三十三回忌、五十回忌までと様々ですので、この点に関しては、お墓の管理者の方にしっかりと確認を取るようにすると良いかと思います。
ここ最近では、このお墓を選ぶ方が増えており、そこには少子高齢化が進み、子孫が先祖代々のお墓を供養するのが難しくなってきたという背景があります。
また、お墓を新設する際には、平均で言うと200万円ほどの費用がかかりますが、永代供養墓ならば、50万円ほどの費用からできる、ということもこのお墓を選択する方が増えている背景の一つでもあります。
「納骨堂」というのは遺骨を安置する屋内施設型のお墓の形式です。このお墓にも様々なパターンがあり、墓石を建てず、共同の参拝所からお参りをするパターンや、位牌などを置き、個別にお参りできるスペースが設けられているパターンなど幾つかあります。
散骨と手元供養
「散骨」は遺骨を粉末にして、海などに撒く方法で、お墓は作らない形式となります。この方法は、従来通りのお墓で眠ることに意味を見い出せない方や、子どもに墓守に関しての負担をかけたくないと思う方が選ぶものです。
ただ注意して頂きたいのは、散骨はどこでもやっていいものではない点です。現実的に、陸上で自由に撒くことはできないと考えた方がいいことから、散骨の多くは海で行われます。
そのため、海で散骨をすると、遺族が日々手を合わせる対象が身近にないということで、手を合わせるためには、船をチャーターして海に出る必要性が生まれることもまた、注意点として挙げられます。
その他にも、遺骨をオブジェやアクセサリーなどの中に入れ、身に着けたり、リビングなどに置いておく、「手元供養」というものを選ぶ方も増えています。これは、故人を身近に感じたいという思いを持つ方が選ぶことの多い形式です。
まとめ
終活時のお墓選びということで、このコラムではお墓の種類や形式にスポットを当てて解説してきました。お墓、と一口で言っても、一般的な先祖代々入るお墓だけでなく、もっと自由度の高い考え方・フランクな発想のお墓も多くあります。
こうした選択肢が多いわけですから、終活として、自分がこの世を去った後に眠ることになるお墓を、自分や自分の大切な人たちのことを考え、またそれぞれの方々が納得のできるものを選ぶようにすることが、お墓の選び方の基本的な意識であると言えます。
自分の死後のことを考えるのは、気が重く、かつネガティブに思えてしまうかもしれませんが、終活というのはこのような考え方のものですから、逆にポジティブな行動や考え方なのです。
自分が安らかに眠れるように、そして大切な方々の負担を減らすためにも、終活というものを検討してみてはいかがでしょうか。